邪魔 (2001/04) 奥田 英朗
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先週読んだ「最悪」と比べると、そこまで坂道加速墜落型ではなかったので、
心臓にも負担をかけずに読むことができました^^;
「最悪」が、事件の進展と同時に進むのに対して、
事件をきっかけに、その後いろんな人たちの人生のバランスが崩れていくのが「邪魔」。
「邪魔」なものってなんだろう。
周囲とのわずらわしい関係?ねたみや嫉妬??
他人の評価??
普段はまわりを疎ましく思いがちだけど、本当に邪魔だなって思うのは
人生をうまく渡っていけない自分そのものなんじゃないだろーか。
と思ってしまいました。これ読んで。
「理想の自分」と現実とのギャップ。
こんなはずじゃなかった、って思うことばかりの人生。
そんな現実の自分が一番邪魔くさい存在なのかもね。
それから、この作品で奥田先生に対して思ったことがあるのです。
前に雑誌のインタビューか何かで奥田先生が
「人の嫉妬や妬みや憎悪の感情が苦手で、そんなのに接するたびに憂鬱な気持ちになる」
って言ってた。(たしかこんな表現)
なのに、どうして奥田先生はこんなに人のドロドロした感情をリアルに書けるんだろう。
人間の本性の陰湿さと執念深さを、こんなにもストレートに書いててイヤにならないんだろーか。
あたしは読むのもイヤになってしまうような箇所が所々あった。
「スマイル」の社長と恭子の最初のやりとりのくだりなんか特にそう。
でもそれこそ本質で、自分の身の回りにも心当たりがあるから、
どんどんページを捲ってたけど^^;
奥田先生の作風の広さにあらためて感嘆するとともに、
どれが奥田英朗の本質なんだろ、という素朴な疑問が頭をもたげました。
気まぐれの正義で誰かの人生をかき回すのって無神経極まりないよなぁ。
仕事だけじゃなく、すべてのことに言えるよね、これ。
かといって、すべてに対して無関心でいても冷淡だと思われてしまいます。
群像の中で生きていくとは、かくもめんどくさいものであります。
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最悪 (講談社文庫) (2002/09) 奥田 英朗 商品詳細を見る |
そのタイトルの通り最悪でした。。。。
ここまで不運が重なるものでしょうか。
というくらい、どんどん不幸になっていく登場人物たち。。。
特に和也に絡む「タカオ」と「山崎」が強烈で、
「お前もいい加減だまされるなよー」というほどに裏切られていく和也が哀れです。
物語が加速しながらどんどん壊れていくことはあらかじめ分かってましたが、
やはり読みすすめると陰鬱な気持ちも広がります。
あたし、こーゆーの苦手。さながら東野圭吾のようなドロドロストーリー。
影響されやすい人間なので、読むと自分までそんな身になってる気がします。
奥田先生信者なのでちゃんと読みましたが、結構キツかった
でもこれこそがリアルな現代社会なのかもしれないね。
あたしが脳内お花畑な人間なので、現実を直視できないだけかぁ・・・
プロジェクトファシリテーション (2009/08/20) 白川 克関 尚弘 商品詳細を見る |
「スピード」と「外圧」
コンサル会社のケンブリッジに古河電工が求めたもの。
「情熱」
このプロジェクトを成功させたもの。
よく出来たプロジェクトだな、って思う。
自分もシステム系のプロジェクトに1年近くかりだされてたから、
このプロジェクトのメンバーが羨ましいくらい。
プロジェクトをやって、あたしに残ったものは虚無のみです。
この本に出てくるような「白川さん」や「関さん」のような人たちと仕事がしたい。
自分がその立場を求められてるのは分かります。
ただ、当時1年目の新米にそれを求めるのは酷だったんじゃないかな。
誰からも感謝されず、謝罪もされず、罵倒され、忌み嫌われ、
それでも成果を早く出せといわれ続けているのが現状です。
「雨ニモ負ケズ」の心を貫けたら良いのだけど、
今この職場があたしの「守りたいもの」でない以上、もうどうしようもないのです。
今、口を開けば出てくるのは、誰かに責任を押し付けて、誰かのせいにして、
それで楽になろうとする「逃げ」の自分ばっかりだから。
もうそんなのは嫌です。
もっと、この本みたいに苦楽を乗り越えた後の光が見たいんです。
心はもう決まってます。あとは踏み出すだけ。
すーちゃん (幻冬舎文庫 ま 10-2) (2009/08) 益田 ミリ 商品詳細を見る |
先日読んだ香山リカの「しがみつかない生き方」で紹介されてた本。
またまた先輩に貸していただきました。
「おひとりさま」系の本って、独りを無理やり正当化して、
「自分のために投資をしましょう」とか、「新たな自分を見つけましょう」
「ひとりだからこそ出来るんです」、「○○出来る時間と余裕があるあなたは幸せ!!」
などなど。。。
そこから強引に「だから○○をしましょう」ってこじつけて、
ビジネスをひねくり出してる気がして仕方ないんです。
そんな商業世界がうざったくてしょうがないです。
この本の主人公「すーちゃん」は、30代独身、彼氏なし、カフェ店員、所得低め。
って書くと、最近はやりの「おひとりさま」本かな、って思うのですが、
この本はちょっと違いました。
すーちゃんが等身大だからかなぁ。
世間に押されていろんな「今風」の過ごし方を試みようかな、と思うけど
結局自分には向いてない、って思って、そのままの生活をする。
これが人間の本質なんじゃないの??
人はそんな急には変われないんだよ。
でも、変わることがいかに簡単でメリットが大きいかを誇大にがなり立てる人たちがいるから、
「じゃああたしも変わらなきゃいけない」と無意識にすりこまれて
それが自分の本心なのだと錯覚してしまう。
そんなの虚勢だから、ちょっとしたことですぐにメッキははがれちゃうのにね。
剥がれたもんを戻すのは、虚勢を張るのよりずーっと難しいし時間がかかるのになぁ。
だからすーちゃんみたいに、「なんとなくあたしらしく」生きてけばいいんじゃないの??
それが Best かどうかは分からないけど、きっと Sounds Better なはずです。
ということで、良い本でした。
本の中で、すーちゃんが友達まいちゃんにちょっぴり愚痴ってすっきりしてるシーンがあるのですが、
「同じ穴の狢(むじな)」って言葉が浮かびました。
陰湿じゃなきゃ、愚痴って全然良いと思うのです。
愚痴って最後に笑い飛ばすパワーがあれば、むしろ楽しく愚痴り飛ばせーって思う。
ただ、同じ状況にある人じゃないと、感情って理解しがたいものだよね。
笑い飛ばすための愚痴を本気で諭された時、感覚の「ねじれ具合」を正すのがめんどくさいので、
あたしは余計なことは言わないようにしよう、と心がけてしまうのです。
でも「同じ穴の狢」がほしいなー、いたら楽なのになーと思う。
つまりは同じ状況や価値観を持つ人を探さねば、
誰かと現状を笑い飛ばすことも出来ないってことだ。
わお。いまのあたしにあるかな??
きみの友だち (新潮文庫) (2008/06/30) 重松 清 商品詳細を見る |
久しぶりに、ずっと大事にしたいと思える本に出会った気がします。
(奥田英朗作品は除いての話だけど。)
この物語は、複数の少年・少女それぞれの視点から描かれてます。
どこかでつながってる複数の少年・少女を数珠つなぎにすることで、
同じ場面でも人それぞれ、感じ方や捉え方が全く違うってこういうことにあらためて気付かされました。
特にすごい事件が起こるわけでも、痛快な謎解きが用意されてるわけでもない。
でも、これこそが人生だと思うし、等身大で生きることがいかに難しいか思い出す。
そして今の自分が当時の自分のように、
目の前のことに真剣に「等身大」に生きているかを考えるきっかけになりました。
誰もがこの物語に出てくる「きみ」と同じ境遇になったことがあるはず。
この本を読んだらその時の気持ちが蘇ってきて、
懐かしいやら悲しいやら、でもかけがえのない大事な瞬間だったんだな、っていう
ちょっとセンチメンタルな気分になってしまうでしょう。
重松清はどうしてこんなに、過ぎ去った昔の話を綺麗に描くことが出来るんだろう。
「○○ちゃん、きみの話だ。」とか「○○ちゃん、きみの話をしよう。」っていう文章から、
「きみの話」があまりに愛情や慈しみに満ちて描かれていて、
まるで「きみ」=自分の話をしてくれているような気持ちになる。
あたし自身は「恵美」と「堀田ちゃん」の中間。
小学校のころは「万里ちゃん」も自分の中に同居させてたかもしれない。
本当は「恵美」のように、本当に大事なものだけを大切にしたいから、他のものに興味はない。
でも「本当に大事なもの」を見落とさないために、余計なものに目を配り過ぎたり、
まわりの「みんな」が気になるから「堀田ちゃん」のような「カメレオン」になってる。
どっちで生きてく決心もつかないあいまいな自分が嫌になる時もあるけど
それでもそのまま生きてていいよ、ってこの本は思わせてくれる。
久しぶりに出会った良作。大事な一冊になりました。
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シンプルな暮らしに憧れます。
毎日をていねいに、彩りに満ちた生活を送りたいと思いながら、今日もあくせくすごしてます。
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mug
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非公開
自己紹介:
いつの間にか社会人4年目になりました。
旅好きです。
イタリアに住みたいです。
都内の中堅企業で3年10ヶ月を経て、2011年2月、心機一転新たなスタートです。
好きなことしか出来ない性分です。
意外とちっこいですが、たまに噛みつきますのでご注意ください。
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