きよしこ

きよしこ 重松 清 (2005/06) 新潮社 この商品の詳細を見る

ひさびさに、いい小説を読んだなぁ、、、って思う。

吃音の少年の半生（？幼少期から高校まで）を綴ったもの。

この少年は『吃音』っていう障害を持ってるから、
自分の伝えたい思いを言葉にできずに飲み込んですごすけど、

だけど、吃音がなくったって、
この少年みたいに思いを飲み込んだことが、誰にでもあると思う。

だから、そんなもどかしさを少年に重ね合わせて、
誰かに伝えたかった気持ちを、みんな思い出すんだろうな。

やっぱり、言って後悔するより、言わなくて後悔する事の方が多い。
言ったことへの後悔は、いつか晴れる気がするけど、
言わなかった、言えなかったことに対する後悔は、今も消えません。

伝えたいことがあって、それを言葉にするのが難しかったら、
手をつないだり、抱きしめたりすれば伝わるよ。
それが、本当に伝えたいことだったらね。

ってのが、『きよしこ』の言葉。

だけど、やっぱり言葉にしないといけないこともあると思うんだ。
言葉にしていかないと、自分までわからなくなってしまう。

そのときどんなことを考えていたか、ホントはどう思っていたのか、
自分でも忘れてしまう。
言葉として、口に出したり、文字にしたり、誰かに伝えたりしないと。

コトバって大事だ。

そのときどんな気持ちだったかなんて、
いつまでもはっきりとは覚えていられるものじゃない。
時間っていうフィルターが、
そのときとは違う感情を記憶として根付かせてしまうことも多くある。

だから、コトバにして誰かに伝えなくちゃいけない。

たぶん、この少年も最後はそう思ったんだろうな。