半落ち (講談社文庫) (2005/09) 横山 秀夫 商品詳細を見る |
クライマーズ・ハイは描写が細かく練られ過ぎていて断念してしまったのですが、
これは良かった。
話に引き込まれました。
実際に、刑事も検察もあたしには良く分からないし、
彼らの細かな仕事の描写は良く分からなくて、すっ飛ばして読んだんだけど、
それにしてもどんどんページをめくってしまうのは、
この話の主人公、梶の魅力なんだろうな。
取り調べにあたる人からの視点で物語を書くことにより、
読者も梶と相対しているような気持ちになり、
この人の心にある、本当の理由を知りたいと思うのでしょう。
なんか抽象的で分かりにくい感想ですね^^;
なぜ梶は「半落ち」なのか。
彼が秘める想い(決してやましいものではないと誰しもが思ってたはず)とは何か。
物語は始めから、ラスト数十ページまでほぼこれだけです。
だけど、飽きないんです。
ラストで、その「想い」が明らかになった時、
「それだけで?」って、そういう風にしか思えない冷めた自分と、
「そのために、自分を晒す覚悟をしたんだ。それほどまでに強い思いなんだ」って思って
感極まる自分と、ホントに正反対な気持ちが共存してました。
けど、秘密にしてた理由は何だろう。相手に迷惑がかかるから??
この話は、「重大な欠陥がある」とかで直木賞審査の時にモメたらしいですが、
そんなことはどうでもいいと思わせる内容でした。
事実として、受刑者にその行為が可能かどうかよりも、
それでも誰かを救いたいという意思の強さが伝わればいいんじゃないかな。
荒探しはもういいよ。
それから、この「半落ち」を読んで感じたことがあります。
誰かを救いたいと思った時、私たちは概してアフリカやその他途上国の貧しい人々を思い起こすのではないでしょうか。
彼らを助けることは、正義そのもので、何より実質的に思える。
だけど、そうやって海外の人を救おうとしている人のすぐ横で、
自分たちと同じ国の人が不幸に直面している。
それを救うことは、正義ではないの??
まず、誰かを救いたい、っていう精神に目を向ける、という意味では
対象はなんでも素晴らしいと思う。
でも、それが本心で行われてるものなのか、パフォーマンスの一環なのか、
分からないことが、今の世の中多々あるのではないでしょうか。
マザーテレサの言葉にこんなのがあります。
他国の心配より自国の貧しい人への配慮を優先すべき
貧しいかどうかは違うかもしれないけど、
他国にばかり目を向けてしまいがちのなか、自分の身近なところで助けを求めてる人はたくさんいる。
それでも世界を救うことを宣言する方が、なんだか崇高な気がしてしまって
他国支援がどーとか、っていう方に意識が言ってしまう。
パフォーマンスなら尚更。
でも、そこに優劣なんかないし、あえて言うなら自分の身の回りを幸せにしていくことから
全ては始まるんじゃないか、と思った。
「世界を救いたい」って壮大な想いを抱いて何もできないより、
そんな身近な誰かを助けるために何かをするほうが、もしかしたら大きな事かもしれない。
まとまらなくなってきましたが、そう思いました。
PR
この記事にコメントする
- ABOUT
シンプルな暮らしに憧れます。
毎日をていねいに、彩りに満ちた生活を送りたいと思いながら、今日もあくせくすごしてます。
- Calendar
08 | 2024/09 | 10 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 |
8 | 9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 |
15 | 16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 |
22 | 23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 |
29 | 30 |
- Profile
HN:
mug
性別:
非公開
自己紹介:
いつの間にか社会人4年目になりました。
旅好きです。
イタリアに住みたいです。
都内の中堅企業で3年10ヶ月を経て、2011年2月、心機一転新たなスタートです。
好きなことしか出来ない性分です。
意外とちっこいですが、たまに噛みつきますのでご注意ください。
旅好きです。
イタリアに住みたいです。
都内の中堅企業で3年10ヶ月を経て、2011年2月、心機一転新たなスタートです。
好きなことしか出来ない性分です。
意外とちっこいですが、たまに噛みつきますのでご注意ください。
- Category
- ブログ内検索
- New Comment
(05/18)
(05/08)
(04/19)
(04/08)
(04/04)